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高次脳機能障害

物損示談の過失割合を民事裁判の判決で大逆転した例

人身傷害保険で原告の過失分をすべてカバー

■高次脳機能障害(判例031)
■後遺障害等級:2008年 確定年:1級3号
裁判所認定額 約1億1,600万円
■名古屋地裁管内 (判決)

被害者データ 65歳 ・男性
■ 信号のない交差点での車同士の衝突により、原告は脳挫傷、頭がい骨骨折などの重傷を負い、高次脳機能障害、左半身麻痺等の障害が残った。1級3号
(愛知・名古屋地裁管内)

認められた主な損害費目

将来介護料 約4,000万円
逸失利益 約1,600万円
住宅改造費 約1,000万円
介護関係費用 約2,000万円
後遺障害慰謝料 約2,400万円
その他 約600万円
損害額
約1億1,600万円
過失相殺35%控除後 約7,500万円
自賠責分控除 ▲約2,700万円
損害賠償請求認容額 約4,800万円
   
近親者慰謝料合計額 約740万円

 

表2 本人分の人身傷害による補充

本人分損害賠償総額 約1億1,600万円
過失相殺分
▲約4,100万円
   
過失控除後(本人受け取り、自賠責込み) 約7,500万円
   
人身傷害から填補(上記35%の過失相殺分) 約4,100万円
本人受取額計 約1億1,600万円
(損害賠償額の総額)

 

詳細

第1の争点となったのは過失割合。
相手が優先道路、原告の運転する車が狭い道路から交差点に進入したことから、物損事故の示談は、既に原告の過失割合70%という圧倒的に不利な状態で終結していました。しかし、原告側代理人が事故状況を詳細に検証した結果、相手側にはかなりの速度違反が認められたため、新たに起こした民事裁判の中で、原告の過失は実際には35%にすぎないと主張したのです。裁判では、物損の示談時の過失割合がどのような影響を与えるかがポイントとなりましたが、裁判所は原告の主張を認め、結果的に過失割合は、物損の示談と対比して大逆転となりました。

2番目の争点は、「主夫」の逸失利益です。
原告は定年退職後、脳梗塞を患い、外で働く妻に代わって家事を一手に引き受けていました。男性と言えども、家事労働を行っているという観点から、主婦と同様に女子労働者の賃金294万円を適用して請求したところ、1,600万円の逸失利益が認められました。 また、被告側は、「重い高次脳による四肢麻痺は、自宅介護は無理だ」と主張してきましたが、原告側は、「家族全員で協力し、自宅介護を行う」という前提で緻密な立証を行いました。

その結果、判決では合計1万6,000円の介護費用と、約1,000万円の自宅改造費が認められたのです。 (愛知・名古屋地裁管内)

認定額増加のポイント

まず、事故状況について一から検証しなおし、当初原告に不利だった過失割合を70%から35%へと完全に逆転させたことが大きな増額につながった。またこの事案では、人身傷害補償保険の扱いも大きなポイントとなった。過失のある被害者にとって最も有利なのは、裁判所が認定した損害額の本人過失分を先に充当する判決を勝ち取ることである。本件においては、表2のように原告の過失分は4,100万円であり、これは本来、受け取ることができないものだが、人身傷害保険を契約していたため先に受け取っていた。これに対して被告側は、「被害者が人身傷害から保険金を受け取った以上、被告側に賠償義務はない」と主張してきたが、当ネットワークではその主張を覆す判例を全国各地の裁判所で多数獲得し、先例として積み重ねてきた実績があり、その点を丁寧に立証した。その結果、本件においても、加害者から7,500万円と、自身の35%分の過失分も人身傷害保険から4,100万円支払われ、結果的に過失相殺されることなく損害額全体が補償され、さらに近親者慰謝料・弁護士費用・金利等が付加されたのである。

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