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高次脳機能障害5級の被害者に対し,加害者側の7級主張を排斥した事例。

被告の過失相殺25%の主張に対して10%に減らし,逸失利益は被告主張を全面的に排斥して約7580万円を認めさせた。

■高次脳機能障害(判例104)
■後遺障害等級:5級2号 確定年:2011年 判決
■横浜地裁管内

被害者データ 24歳 ・男性 (正社員(溶接工))
男性 受傷時24歳 正社員(溶接工) 原告が自動二輪で交差点の優先道路側を直進中,左方から右折して交差点に進入してきた被告自動車に衝突された。 脳外傷による高次脳機能障害5級2号

認められた主な損害費目

入院付添費

約10万円

休業損害

約470万円

逸失利益

約7,580万円

傷害慰謝料

約200万円

後遺障害慰謝料

約1,400万円

その他

約150万円

損害額

約9,810万円

既払い保険金控除後(任意)

約9,100万円

過失10%控除後

約8,200万円

自賠責保険金控除

-1,350万円

弁護士費用

約770万円

遅延損害金

約2,020万円

最終金額

約9,640万円

*自賠責保険金1350万円を加えた総獲得額は約1億0990万円である。

詳細

・加害者の主張

①原告は事故当時,時速約100kmもの高速で自動二輪車を運転しており,著しい過失があることを考慮すれば,25%の過失相殺をすべきである。
②原告の高次脳機能障害の程度については,原告の神経心理学的検査の成績が比較的良好であることを踏まえると,後遺障害等級としては7級が妥当である。
③原告の学歴は中学卒業なのであるから,逸失利益算出の前提となる基礎収入は,統計上の中卒者平均賃金を前提とすべきである。

・原告の反論

①原告の事故当時の速度を時速約100kmとした被告の計算は,工学上の根拠が誤っている。そもそも,自動二輪車で時速100kmもの速度が出るはずもない。
②「原告の神経心理学的検査の成績が比較的良好」とした被告の主張は,検査結果全体の中で比較的数値が良い部分だけを引用したものに過ぎない。検査結果全体を見れば原告の成績は決して良好ではなく,むしろ後遺障害5級という自賠責保険の判断を裏付けるものである。
③原告は事故当時24歳ながら同年代の平均賃金よりも高額な給与収入を得ており,将来的にはさらに給与額が上がることが見込まれていたのだから,学歴を理由に基礎収入を低く見積もることはできない。基礎収入は統計上の学歴計全年齢平均賃金を用いるべきである。

・裁判所は3点のいずれについても原告の主張を全て認めた。

当事務所のコメント/ポイント

本件における最大のポイントは,「被害者が大幅な速度超過をしていた」との相手側の主張に対する対応である。相手側は運動物理学上の計算式を裁判で示してきたが,我々がその内容を慎重に検討し調査した結果,相手側の計算式には物理学的な観点から重大な誤りがあることを看破した。この点を我々が十分に主張を行った結果,裁判所は相手側の主張を全面的に排斥し,被害者の大幅な速度超過を否定した。
また,相手側は被害者に対する自賠責保険による5級認定を否定して7級との主張を展開したのだが,我々において高次脳機能障害に関する正しい知見を活かし,相手側の主張の誤りを正確に指摘した結果,相手側の7級主張は無事に排斥された。さらに,相手側は被害者の学歴が低いことを理由に逸失利益を大幅に減額すべきと主張も行ったが,被害者が勤務先において十分な技量を見込まれていたことを我々が丁寧に主張した結果,裁判所はこの点でも相手側の主張を全面的に排斥し,我々の主張を全面的に認めた。
以上の主張立証活動が奏効した結果,高次脳機能障害5級にも拘わらず,自賠責保険金分を併せると総額で1億円を超える高額な賠償を獲得することができた。