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高次脳機能障害

高次脳3級69歳男性について事故前年度収入での逸失利益が認定された事例

高次脳3級ながら将来介護費用として総額約2,900万円が認められた

■高次脳機能障害(判例106)
■後遺障害等級:3級 確定年:2011年和解
■名古屋地方裁判所管内

被害者データ 67歳 ・男性 (給与所得者)
受傷時67歳・固定時69歳 男性(給与所得者)
横断歩道を渡り終えようとしていた被害者に加害自動車が衝突したもの
高次脳機能障害3級

認められた主な損害費目

将来介護費

約2,900万円

休業損害

約340万円

逸失利益

約2,040万円

傷害慰謝料

約270万円

後遺障害慰謝料

約2,100万円

その他

約1,210万円

損害総額

8,860万円

損害填補(任意保険)

-約1,150万円

損害填補(自賠責)(※2)

-約2,220万円

調整金(※1)

約360万円

総合計額

5,850万円

※1遅延損害金及び弁護士費用相当額を含む
※2訴外獲得の自賠責保険金約2,220万円と合わせて、約8,070万円での解決となった。

詳細

加害者の主張

①事故当時67歳と比較的高齢であり、事故前年度の収入を今後も得られる蓋然性は低く、70歳以降は年金で生計を立てることが一般的であるため、逸失利益の基礎収入は平均給与額の60%程度とするべきであると主張。。
②被告の調査員が面談したところ自宅に一時外泊しており、通常の会話ができたこと、また日常生活動作(ADL)は自立していると考えられることを主張し、介護の必要性はないととして将来介護費を争った。

裁判所の判断

①訴訟実務上、高齢であってもその点を考慮して平均余命の2分の1の期間に限定した上で逸失利益が認められていること、年金を受給しているか否かにかかわらず就労できなくなったことによって失った利益は賠償されなければならないことを指摘したところ、裁判所和解案でも、事故前年度の基礎収入をそのまま採用し、2,000万円以上の逸失利益が認められた。
②各病院の診療録に記載された被害者の症状の内容・程度を丁寧に指摘し、自賠責における高次脳機能障害の等級認定の基準への緻密なあてはめを行い3級ではあっても、随時介護を要するとされる2級に近い障害があることを主張立証し、また加害者側の医師の意見書の問題点を指摘した。加えて、身体的な問題であるADLが自立していても、高次脳機能障害患者への声かけ・看視の必要性は否定されないことも主張した。その結果、裁判所も和解案において日額7,600円の介護料を認めて、将来介護費としても2,000万円以上が認定された。
③裁判所和解案としては、損害総額約8,860万円と67歳と比較的高齢な男性では相当な金額が認められ、既払い額を控除して、調整金を加算した和解金総額は約5,850万円となった。訴外で獲得した自賠責保険金を合わせると、8,000万円以上での解決となった。

当事務所のコメント

①高齢の被害者の場合、年齢別平均賃金を採用したり、平均賃金を割り引いて逸失利益の基礎収入(将来得られると見込まれる収入年額)を認定することも多く、本件でも、被害者が70歳近くであったことから、引き続き前年度の収入を維持するのかは一見すると不確定であるように思われます。しかしながら、被告の指摘が的を射ていないことを的確に指摘したことで、基礎収入は高齢にもかかわらず事故前年度収入をそのまま採用するとの裁判所の認定を獲得しました。
②高次脳機能障害の患者様の場合、身体的な能力にはほとんど問題を持っていないという方も多く、特に3級と1・2級では自賠責の認定基準としては"介護を要するか否か"により区別されていることから、介護の必要性を争われるケースは非常に多いと言えます。当事務所ではこれまで多くの3級以下の高次脳機能障害の被害者の方の賠償を獲得してきた経験から、医学的資料の精査、相手方の医師の意見書への反論、高次脳機能障害の実態に関する医学的文献の指摘などを被害者の方の事故後の状況と合わせて緻密に立証することで、介護の必要性についても多くの裁判例・和解案で認められてきました。本件も、そういった専門的な立証が功を奏した好例の一つと言えます。

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