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高次脳機能障害

加害者側の2級主張を排斥し,自賠責同様被害者に高次脳機能障害1級を認定させた上,将来介護料約1億170万円(日額2万円)を認めさせた事例。

事故とは別の原因により後遺障害の症状が悪化したとして,後遺障害と事故との因果関係を争う加害者側の主張を排斥した。

■高次脳機能障害(判例176)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2017年 和解
■山口地方裁判所管轄内

被害者データ 60歳 ・女性 (会社員)
女性 受傷時60歳 会社員
原告が単車を運転し一時停止規制側の道路から交差点に進入したところ,左方から同交差点に直進進入してきた被告自動車と衝突した。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約200万円

付添看護料

約200万円

休業損害

約420万円

逸失利益

約3,290万円

将来介護費用

約1億0,170万円

住宅改修費用

約1,000万円

介護用品費用

約430万円

介護雑費

約250万円

成年後見人報酬

約350万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約70万円

損害額

約1億9,580万円

障害年金既払い額控除

-300万円

過失55%控除後

約8,680万円

既払い保険金控除

-330万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

近親者慰謝料

140万円

*1調整金

約1,250万円

*2最終金額

約5,740万円

*1調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*2自賠責保険金4,000万円を加えた総獲得額は約9,740万円である。

詳細

加害者の主張

① 原告は自賠責保険により高次脳機能障害1級の認定を受けているが,実際には相当程度の日常生活動作能力が回復していたのだから,せいぜい高次脳機能障害2級相当であり,2級を前提に将来介護費を算定すべきである。
② 原告の医療記録(カルテ)を見ると,「脳出血の原因が高血圧か外傷によるものか判定は困難」という記載が存在するから,原告の脳出血(延いては高次脳機能障害)と事故との因果関係には疑問がある。

裁判所の判断

①  原告はあらゆる日常生活動作に介助を必要としており,誰か介護者が終始見守りをしている必要がある(この点は,原告の介護を実際に行っている各担当者も明言している。)。したがって原告の高次脳機能障害は自賠責同様1級相当であり,将来介護費用約1億170万円(介護日額2万円相当)を認める。
② 原告は事故の直前まで自動車を運転していたのだから,脳出血の原因は事故によるものと考えるのがそもそも自然である。また,原告の主治医も最終的には「事故によるびまん性軸索損傷」が原告の症状の原因だと判断し,医療記録(カルテ)にも記載している。よって,原告の高次脳機能障害は事故に起因するものと認められる。

当事務所のコメント/ポイント

 交通事故で高次脳機能障害1級を負った被害者には,常時の介護が必要である。この事例では,被害者が「寝たきり」ではなく多少の動作を行うことを根拠に,相手側から「常時の介護は必要でなくせいぜい2級相当である」という反論がなされた。そこで,我々において,実際に被害者の介護を担当している介護担当者からも話を聴き取り,あらゆる生活動作について必要な介護の内容とその負担の大きさについて丁寧に主張した結果,常時に及ぶ手厚い介護態勢の必要性が裁判所にも認められた。そして,自賠責同様高次脳機能障害1級を前提に,約1億170万円(介護日額2万円相当)という高額な将来介護費用を認定させることができた。
また,高次脳機能障害の要因となった脳出血の機序についても,被告はカルテの一部記載のみを切り取って,事故以外の原因の可能性を主張したが,我々においてカルテ全体の記載に基づき反論を加えた結果,保険会社側の主張を退けることができた。
以上の結果,総取得額は自賠責保険金を併せて約1億円近くに達し,過失相殺が55%と高い事例としては高額なものになった。

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