等級申請前から医師の診断を受け十分に議論、複雑な複数の障害に併合11級が認められた例
役員報酬を取得していた被害者の基礎収入が争点に
■後遺障害等級:併合11級 確定年:2012年
■東京地裁管内 和解
被害者データ
44歳
・男性
(運送業経営者)
原告が運送業務で青信号交差点を直進中、被告対向右折車が衝突
右股関節機能障害12級、右足関節機能障害12級、併合11級
(東京地裁管内)
認められた主な損害費目
損害額(単位:万円) |
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逸失利益 |
約1,850万円 |
休業損害 |
約840万円 |
傷害慰謝料 |
約310万円 |
後遺障害慰謝料 |
約420万円 |
その他 |
約460万円 |
損害額 |
約3,880万円 |
過失20%控除後損害額 |
約3,100万円 |
既払控除(任意) |
-約1,200万円 |
既払控除(自賠責) |
-約330万円 |
※調整金 |
約180万円 |
和解額 |
約1,750万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
本件の被害者は、右足に複数の複雑な障害を負っており、後遺障害の等級がどの項目にあたるのか、大変判断の難しい受傷状態でした。しかし、早い段階で当ネットに相談されていたため、専門医とじっくり相談することができ、詳細な診断書を作成していただいた結果、併合11級という認定を受けることになりました。
和解の場で議論になったのは、逸失利益の基礎収入をどう見るかという点でした。被害者は二つの会社から併せて850万円の収入がありましたが、一方の会社の収入は役員報酬的な意味合いで純粋な労務対価ではありませんでした。加害者側の損保は基礎収入を600万円で算出するよう求めてきましたが、我々は一社分の720万円を主張。その結果、裁判所は722万円を認定しました。
過失割合は20%から引き下げることはできませんでしたが、逸失利益は十分に確保することができた事案です。 (東京地裁管内)
■増額のポイントおよび成果
複雑な障害を負った場合、自賠責の後遺障害等級申請には専門医の丁寧な診断が不可欠だ。本件の被害者は事故後すみやかに当ネットに相談されていたため、我々のネットワークを生かして専門の医療機関を紹介することができた。和解による解決であったが、調整金も約200万円認められ、被害者には大変喜んでいただけた事案である。
<成果>
- 後遺障害認定については12級の認定だったが、併合11級に引き上げることができた。
- 逸失利益について相手側は600万円が妥当だと主張していたが、2つの会社から役員報酬850万円などを得ていたことを立証し、722万円が認められた。
- 調整金については、200万円という高額が認められた。