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12級13号の被害者について67歳までの労働能力喪失期間を認定

傷害内容と業務内容の密接な関連性を立証した結果,2年以上の期間について休業の必要性が認められた事案

■上下肢切断・機能障害他(判例048)
■後遺障害等級:12級13号 確定年:2020年 和解
■東京地方裁判所管轄内

被害者データ 42歳 ・男性 (個人事業主)
男性 個人事業主 受傷時42歳 症状固定時44歳
被害者が自転車走行中,追い越そうとした大型車に巻き込まれた事故
左手首TFCC損傷12級13号等

認められた主な損害費目

治療費

約330万円

休業損害

約985万円

逸失利益

約1,050万円

傷害慰謝料

190万円

後遺障害慰謝料

300万円

その他

約85万円

損害額

約2,940万円

任意保険金控除

-約1,060万円

自賠責保険金控除

-224万円

*1)調整金

約740万円

最終金額

2,400万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金224万円を加えて,総額2,624万円を獲得した。

詳細

加害者の主張

①被害者の傷害は,左腕・左手首の靭帯損傷のみであるから,タイピングさえできればシステムエンジニアの仕事に復帰することが可能であった。よって,2年以上の期間に渡って仕事に従事できなかったとは到底認められず,休業損害が認められるのは長くとも10か月程度である(裏を返せば,2年以上も仕事に復帰していないのは,被害者側の勝手な事情,怠慢によるものである。)。

②被害者の後遺障害は痛み(12級13号)のみであるから,労働能力喪失期間は10年間とすべきである。

裁判所の判断

①個人事業主のシステムエンジニアとして企業からその都度仕事を請け負っていた被害者にとって,仕事を完璧に遂行できる程度に回復しなければ,企業が被害者に仕事を発注することはあり得なかった。よって,タイピングができたことなど,部分的に職務遂行が可能であったとしても,それを過度に重視すべきではなく,2年以上の長期に渡って減収が発生していたことについて被害者に一切の責任はない。そこで,減収割合も参考に,最初の1年間につき100%,次の10カ月につき60%,残りの5カ月につき30%の割合で休業損害を認める。

②靭帯損傷,神経損傷を原因とする神経症状12級13号の場合,それら損傷が生涯に渡って残存する以上,労働能力喪失期間を10年間に制限すべきではない。67歳までの労働能力喪失期間を認める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①休業損害

確かに,骨折すらなかった本件被害者の傷害は,一見すると比較的軽度で済んだように思え,保険会社は早々に休業損害の支払いを打ち切った。しかし,個人事業主としてシステムエンジニアをしていた被害者は,手首や腕の靭帯・神経損傷を抱えながら事故前と同じように仕事(高速タイピングが必要)をこなすことができず,そのような不完全な被害者にわざわざ仕事を発注する企業がいなかったから,1年半以上に渡って仕事をほとんど受注することができなかった。
本件の特殊性は,事故後の被害者が60%~80%の労働能力を既に取り戻しているにも関わらず,収入が2年間以上ゼロという点であった。わかりやすく例えると,プロ野球選手が手首の靱帯を損傷したとき,60%~80%程度回復すれば,(大変失礼ながら)草野球や大学野球の限度であれば活躍できるかもしれないが,プロ野球選手としては使い物にならない。同じように,本件被害者も,手首の状態が100%万全にならなければ,なかなかプロとして仕事を受注することができなかった。
当事務所では,被害者の雇用形態,就労内容など,このような特殊性を緻密に立証することによって,被害者の懸命な努力にも関わらず長期間の減収が生じたことを裁判所に認めさせた。

②12級13号の労働能力喪失期間

12級13号の後遺障害の場合,保険会社は,必ずと言っていいほど,労働能力喪失期間を10年と主張する。本件でもやはり主張された。
しかし,靭帯損傷,神経損傷が生涯に渡って残存し,かつ,職業上手首を酷使する被害者の場合,手首の痛みが緩解することは想定し得なかったから,この点を主張することによって,67歳まで23年間の労働能力喪失期間を獲得することに成功した。
12級13号の後遺障害であっても,靱帯損傷、神経損傷,軟骨損傷,骨折後の不整面残存など,生涯に渡って痛みの原因が残存する場合,労働能力喪失期間が限定されることはない。この点は,弁護士としても専門的な立証が必要な分野である。