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遷延性意識障害

遷延性意識障害1級20代会社員男性、被害者の過失9割であるとの加害者主張を斥け人身傷害保険金以外に9,000万円を超える和解金を獲得した事例

・現実収入額以上の男性学歴計全年齢平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めた事案
・将来介護費につき近親者67歳まで日額1万2,000円、以降日額2万2,000円が認められた事案

■遷延性意識障害(判例027)
■後遺障害等級:1級 確定年:2013年和解
■東京地方裁判所管内

被害者データ 26歳 ・男性 (会社員)
受傷時26歳・症状固定時28歳・男性(会社員)
夜間点滅信号の交差点に進行した加害車両と被害車両が出合い頭衝突した事案
遷延性意識障害1級(四肢麻痺、体幹機能障害等も含めて認定されている)

認められた主な損害費目

逸失利益

約9,400万円

将来介護費

約9,800万円

住宅改造費

約2,000万円

車両改造費

約250万円

将来介護関係費

約2,950万円

傷害慰謝料

約400万円

後遺障害慰謝料

約3,400万円

その他

約1,300万円

損害総額

29,500万円

過失相殺(60%)

-約1億7,700万円

損害填補(自賠責)

-約4,120万円

調整金(※1)

約1,720万円

和解金額

9,400万円

  ※1遅延損害金、弁護士費用等を含む
※2既に依頼を受けた時点で受領していた人身傷害保険金約5,800万円、自賠責保険金4,120万円を併せると総額約1億9,320万円の賠償金となる。

詳細

加害者の主張

①被害者は意識障害の程度が強く、食事は胃瘻によるものであり、排せつもオムツにより行われていることから実際上、1日のうちで介護を要する時間は4,5時間程度であるから、近親者介護料は日額8,000円程度が相当であると主張。
②加害車両は黄色点滅信号、被害車両は赤色点滅信号であったこと、さらに被害者はシートベルトを着用していなかったとして9割の過失相殺を主張。

裁判所の判断

①加害者側の主張に対して、家族からの綿密な聴取に基づいて、おむつ交換においてもその頻度は少なくなく、ヘルパーだけでは容易ではない状況から近親者による補助も必要となっていること、痰吸引の手間、胃瘻に注入する食事の準備に相当の手間暇を要し、また単純に流し込めば良いというわけではないこと等、1日を通じて、相当な量の介護が必要となることを立証。また、身体的に相当な負担となるだけではなく、夜は何度も行うたん吸引と寝返りのため日々熟睡もできず一日中介護から解放されないということの肉体的・精神的負担の大きさ、介護は被害者が生存する限り期限なく続いていくという現実的な問題等も指摘し、近親者一人に全ての介護を負担させるべきではなく、職業介護人を認めて、介護からの解放(レスパイト)の必要性を主張した。
裁判所和解案においても、近親者が67歳に達するまでは日額1万2,000円、完全に職業介護人に委ねてしまう67歳以降は日額2万2,000円の将来介護費が認められた。
②シートベルト付着用自体を争うとともに、仮に当該事実が認定されたとしても、車両の損傷状況が酷いこと等に照らして、着用の有無を問わず、被害者の重度の後遺障害が発生した可能性が高いことを指摘して、被害発生・拡大との関係性(因果関係)はないと指摘した。他方で、加害者には速度制限(時速50km)を時速15kmも超過している事実があるとして、加害者側の過失の加重を主張・立証した。
その結果として、裁判所和解案でも、シートベルト付着用による減額は行われず、加害者側の著しい過失が認定されており、加害者による9割の過失相殺との主張は退けられ、相殺率は6割に留められた。
③和解では、更に約1,720万円の調整金が付加され、過失6割、人身傷害保険金・自賠責保険金を多額に受領していながらも、これらに加えて約9,400万円の賠償が認められた。

当事務所のコメント

①遷延性意識障害など重度の意識障害を負っている場合、相手方から実際上の介護はほぼ寝たきりなのだから負担は少ないとの主張がなされることがあります。しかしながら、当事務所では、現実の介護が如何に近親者にとって重たい負担となるのかを、事案ごとの聴取とこれまでの豊富な経験から綿密に主張を行い、適正な将来介護費の認定を多くの事案で勝ち取っています。
②シートベルト付着用等は、確かに道路交通法上は違法であり、被害者側の過失として評価されるケースもあります。しかしながら、個々の事故ごとに本当に被害発生・拡大に影響を及ぼしたのか(因果関係があるのか)は十分に刑事記録等から検討する必要があります。本件でも、当方の主張が認められ、この点は、減額理由とはされませんでした。
③本件事案は、事故類型に照らしても被害者側の過失が大きいものと見込まれる事案でした。依頼を受けた時点で、既に合計で9,000万円以上の人身傷害保険金と自賠責保険金を受領しており、過失9割との加害者主張が通れば、賠償されるべき部分はほとんど残らず請求は認容されないとも考えられる事案でした。しかしながら、上記のとおり、介護費を含めた損害論、過失相殺率についても粘り強く議論と立証を重ねて、被害者側の過失を6割まで押し下げた結果、更に約9,400万円の賠償金を獲得することができました。見通しの厳しい事案であっても、出来る限り被害者に有利な証拠を見出し、しっかりとした議論をしたことで結果が出た好例であると言えます。

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