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遷延性意識障害

過失相殺55%の遷延性意識障害1級被害者について,適切に人身傷害保険金を請求した結果,損害賠償額と人身傷害保険金額を合わせた総獲得額が高額な約2億4300万円に達した事例。

過失逆転事案(100%→55%)。加害者側の免責主張を排斥し,過失相殺55%と認定させた。

■遷延性意識障害(判例043)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2018年 和解
■名古屋地方裁判所管轄内

被害者データ 20歳 ・男性 (専門学校生)
男性 受傷時20歳 専門学校生
交差点を直進中の原告車両(原動機付自転車)と,対向車線から右折してきた被告自動車とが衝突した事故。
遷延性意識障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約1,420万円

付添看護料

約170万円

休業損害

約900万円

逸失利益

約8,730万円

将来施設介護料

約1億3,330万円

将来近親者介護料

約170万円

将来介護機器等費用

約610万円

住宅改造費用

約530万円

傷害慰謝料

約600万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

近親者慰謝料

約200万円

成年後見費用

約610万円

その他

約220万円

損害額

約3億0,290万円

*1過失55%控除
控除後

-約1億6,660万円
約1億3,630万円

既払い保険金控除(任意)

-約2,070万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

*2調整金

約2,740万円

*3最終金額

約1億0,300万円

*1人身傷害保険金約1億円が過失相殺分に塡補されるため,実質的な過失相殺額は-約6660万円相当となる。
*2調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*3自賠責保険金4000万円,人身傷害保険金約1億円を加えた総受取額は約2億4300万円である。

詳細

加害者の主張

①本件事故は原告の赤信号無視によるものであり,被告に過失はない(過失相殺100%)。

②将来施設介護費用のうち「居住費」分は,そもそも介護施設に入らず普通に暮らしていても「家賃」として発生する金額であるから,損害としては認められない。

裁判所の判断

①目撃者証言を始めとする証拠によれば,原告が赤信号無視で交差点に入ってきたとの主張には疑問があり,むしろ黄信号だったと思われる。他方,被告は右折のために青信号で一旦交差点内に入った後,黄信号に変わってから右折を開始して対向車線に進出したと思われる。以上を踏まえると過失相殺は55%となる。

②施設介護費用における「居住費」は,いわゆる「家賃」と同じ性質であるものの,世間一般的な家賃よりも高額なのであるから,社会通念上相当な家賃額を超える部分については損害として認める。

【当事務所のコメント/ポイント】

交通事故で遷延性意識障害1級を負った被害者について,保険会社側は「被害者の赤信号無視」を強硬に主張し,賠償責任を争ってきた事案である。
この点我々において刑事記録上の実況見分調書や加害者供述,現場の信号サイクルといった記録を精密に引用し,被害者に赤信号無視の事実はない旨反論を加えた結果,裁判所も我々の反論を認め,その上で過失相殺率については55%との判断(加害者は過失相殺100%主張→逆転)を勝ち取ることができた。
さらに将来施設介護費用について,保険会社側は「居住費」分については,施設に入居しなくとも「家賃」としてどのみち負担する金額であるから事故との因果関係はないとの理屈を主張してきたが,介護施設における居住費が社会における通常の家賃よりも優に高額であることを我々において指摘反論した結果,裁判所は社会通念上通常の家賃相当額を超える部分について事故との因果関係を認めた。
なお,最終的に過失相殺率は55%と認定されたが,事故前より被害者が加入していた人身傷害保険に対し人身傷害保険金(1億円)も適切に請求した結果,過失相殺分が優先的に補填され,総取得額は自賠責保険金及び人身傷害保険金を併せて(当方の過失が55%あるにも拘わらず)約2億4300万円と,きわめて高額な成果になった。
もっとも,仮に万が一被害者が人身傷害保険に加入していたければ,総獲得額はこれより1億円少ない結果に留まっていた訳である。このことからも,人身傷害保険の重要性を改めて再認識させられた事例でもあった。

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