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遷延性意識障害

遷延性意識障害1級の女子大生に対する将来介護費用等を含めて損害総額として2億8000万円を認めた和解

住宅改造費用について多岐に渡り被告側からウッドデッキやカーポート、キッチンの移設費用、温水床暖房等について過剰設備である等として争われたが、被害者請求の全額を損害と認めた和解事例。
加害者が任意保険加入していない無保険事案について無保険車特約の保険会社をも訴訟の相手方として賠償を獲得した事案。

■遷延性意識障害(判例045)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2018年 和解
■福井地裁管内

被害者データ 19歳 ・女性 (大学生)
受傷時19歳 固定時20歳 女子・大学生
信号機のない交差点で、被害者が原付で直進進行していたところに、左方から進行してきた加害者の中型貨物車が衝突したもの
遷延性意識障害 自賠責別表第1・1級1号

認められた主な損害費目

治療費・入院雑費

約140万円

付添看護料(交通費を含む)

約130万円

休業損害

約100万円

後遺障害逸失利益

約7,450万円

症状固定後の入院実費

約190万円

将来介護料(在宅移行後)

約1億3060万円

住宅改造費用

約2,360万円

将来介護雑費・福祉車両買替費用

約1,980万円

傷害慰謝料

約360万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約50万円

損害総額

約2億8620万円

過失相殺率(50%)

-約1億4310万円

損害填補(任意保険)

-約240万円

調整金(※1)

約930万円

近親者固有慰謝料

約250万円

 最終金額

約1億5,250万円

 
※1事故日からの遅延損害金や、弁護士費用等を含める

詳細

被告主張

①住宅改造費が過大である、ウッドデッキやキッチンの移設は介護には不要、過大であるので、1500万円程度が妥当であると主張。

②住宅移行後の介護費用について日額が高額に過ぎる、天井走行リフト、シャワーキャリーなどが備わるのであれば、その分介護人の負担は軽減するはずであると主張。

裁判所の判断

①被告の住宅改造費に関する主張に対して、当方からは、遷延性意識障害がある被害者に対して介護者による常時看視が必要であること等の必要な介護内容を詳細に立証した上で、如何に常に家族が被害者の様子を見続けられるか、死角を生まないようにすることの重要性を説明し、本件の住宅改造プランの必要性相当性を詳論した。その結果、裁判所は、全面的に原告の住宅プランと費用を認めて、請求額の満額を和解案において認めた。

②在宅移行後の介護体制について、必要な介護内容を障害内容に照らして立証し、家族らの介護負担の大きさ、現在利用しているサービスだけでも不十分であり、自費でのサービス利用も将来的に必要となっていくこと等を詳細に立証した。その結果、裁判所では、家族が67歳になるまでは、家族と職業介護人の費用を踏まえて、日額2万円、以後は、日額2万4000円として、総額1億3000円以上の将来介護料を認定した。

当事務所のコメント

①住宅改修費用の立証は一筋縄ではいきません。どうしても、専門性のない業者に任せてしまうと、不十分な内容となったり、介護には必要性のないものが多く含まれた工事となってしまうケースは少なくありません。
一般的には、相手方からは、不要な設備費用、相場よりも明らかに高い費用、一部家族も利便性を享受する部分については、賠償額からは控除するべきだという主張が行われ、不要な工事費用などは、現に裁判所も賠償を認めません。

本件でも、各種設備について被告側から不要であるとの争われ方をしました。
この点、事故の初期段階からお手伝いしていたこともあり、住宅改修時にも計画段階から担当弁護士が細かく報告を受けて、どういった介護環境が必要で、そのために、どのような設備や間取りが望ましいかという点について、詳細な情報を共有していたこと、数多くの福祉住宅へのリフォーム・建替えが関わる賠償をお手伝いしてきた豊富な経験から、被告主張を完全に排斥することが出来ました。
被害者家族においては、施設入所も1つの選択ですが、ご自宅で一緒に生活を送りたいと考えることは当然のことです。その際に、適正に自宅生活を取り戻すための費用について賠償を獲得できるように、専門性をもってお手伝いをしております。

②遷延性意識障害の方に対しては、多くの場合で痰吸引が必要であったり、自身で体調管理ができないので、常にご家族や介護者の目が届いている、24時間の介護体制構築は必須です。
この点、一般的な相場では日額2万円以下の賠償であると、被告側から争われることは多々あります。本件では、相当詳細な介護スケジュールと、それに対する職業介護の利用状況、将来的な増員の必要性等を極めて緻密に主張していった結果、家族介護が可能な期間は、日額2万円、以後は、日額2万4000円という高額な認定を得ることができました。
介護費用請求については、当事務所が力を入れて法律理論、裁判実務の動向、介護制度の実態に関する長年の裁判実績があり、ご本人にとって本当に必要な介護が続けられるよう、事案に応じ適切な立証活動に尽力をしています。

③なお、本件では、加害者側が無保険(任意保険に加入していない)という事例であり、被告には加害者だけではなく、依頼者側が運よく加入されていた無保険社特約保険を共に相手取って訴訟での解決を図りました。
上記認容額を前提に、加害者側が支払える資力の限度があったため、出来る限り最終的な解決金額や解決時期が、被害者にとって有利になるように担当弁護士においても、相当な検討と調整を行った案件となります。
特殊性のある事件であっても、交通事故専門事務所である当事務所では、可能な限り、被害者とご家族の賠償を多角的にサポートしております。

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