知っておきたい保険知識
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はじめに
交通事故で被害者が亡くなった場合、その事件の解決にあたるのはご遺族です。また、被害者が大きな傷害を負われた場合、闘病生活の支えとなり、力となるのはなんといっても「家族」です。特に、遷延性意識障害や高次脳機能障害の場合は、被害者本人の意識がなく、あったとしても認知症のため、事故状況について正確に語ることはできません。また、事故前の自分と比較して、「どの部分が不自由になったのか」など、その障害の程度を十分に訴えることができません。ですから、被害者のご家族の方々には、後遺障害について十分理解していただくことが必要です。
当ネットワークは、被害者の方々と苦楽を分かち合いながら、意義のある判決の獲得を目指しております。しかし、いざ訴訟となると、相手側(損保側)からは百戦錬磨の代理人が出てきて長期戦になることもしばしばです。また、法律のみならず保険のしくみは複雑で、何の知識もないままでは専門用語が飛び交う場面で太刀打できません。そのためにも、被害者とそのご家族には可能なかぎり専門知識を吸収し、武装していただきたいと思っております。このコーナーでは、最低限知っておいていただきたい各種用語の解説をいたします。
自賠責保険とは?
交通事故被害者を救済するために国が始めた対人保険制度
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、「交通事故の被害者が泣き寝入りすることなく、最低限の補償を受けられるように」と国が始めた保険制度です。「強制保険」とも呼ばれることからもわかるとおり、公道を走るすべての車やバイクに加入が義務づけられています。
保険金の最高限度額は1事故1名につき、死亡3000万円、重度の後遺障害4000万円、傷害120万円と決められており、1台の車が起こした事故で複数の被害者が出た場合は、それぞれの被害者に対してこの限度額まで支払われます。また、加害車両が台以上のケース(「共同不法行為」)では、被害者はそれぞれの車の自賠責に保険請求ができるので、補償の限度額は加害車両の台数をかけた額になります。
後遺障害が残った場合は、その等級に応じて後遺障害の等級は、最も重い1級(4000万円)から最も軽い14級(75万円)に分かれており、医師の書いた「診断書」をもとに認定されます。
被害者請求の時効は基本的に事故発生から2年ですので、請求期限を過ぎないよう気をつけてください。(時効中断手続きも可能です)
【後遺障害等級別保険金支払限度額】
神経系統の機能または精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、常時または随時介護を要する後遺障害(いわゆる高次脳機能障害がこれに相当します)
施行令別表第1
| 級別 | 1級 | 2級 |
|---|---|---|
| 限度額 | 4000 | 3000 |
施行令別表第2
| 級別 | 1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 | 7級 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 限度額 | 3000 | 2590 | 2219 | 1889 | 1574 | 1296 | 1051 |
| 級別 | 8級 | 9級 | 10級 | 11級 | 12級 | 13級 | 14級 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 限度額 | 819 | 616 | 461 | 331 | 224 | 139 | 75 |
ひき逃げ・自賠責未加入車の被害に遭ったとき
政府保障事業で最低限の救済を受けられます
ここ数年ひき逃げ事件が急増し、犯人の検挙率が下がっています。つまり、事故の被害に遭っても損害賠償を請求する相手がいないというケースが多発しているのです。また、加害者が無車検(自賠責なし)のまま運転していたため、賠償能力が全くないといった最悪のケースも少なくありません。
政府はこうした被害者が泣き寝入りをせず、最低限の補償を受けられるよう、自賠責保険料の0.5%を別会計で管理し、ひき逃げや無保険車による交通事故の被害者からの請求に応じています。
内容は自賠責保険と同じく、死亡、後遺障害、傷害が対象で、支払い限度額や請求から支払いまでの流れも基本的には同じです。
政府は被害者に保険金を支払った後、加害者が特定できる場合は加害者に請求します。加害者と補償交渉が出来る場合は、政府保障で支払われた部分を除き、加害者に請求をすることも出来ます。請求の時効は理由のいかんを問わず2年となっていますので、早めの対応が必要です。
自分の自動車保険の有効活用
無保険車傷害保険
加害者の車に自動車保険(任意)がないときは、まず被害者ご自身の車(もしくはご家族名義の車)の自動車保険に「無保険車傷害保険」がついていないかどうかを確認してみてください。これは、無保険車に衝突されて、死亡または後遺障害を被り、法律上の損害賠償を請求できる場合であるにもかかわらず、十分な損害賠償を受けられないときに役立つ保険です。
支払われる保険金の上限は、対人保険の契約金額と同額(無制限の場合は2億円)です。保険の契約内容によって、「被保険自動車に搭乗中の事故」に支払われる場合と、「被保険自動車に搭乗中、および歩行中や自転車乗車中の事故」に支払われる場合とがあります。いずれにせよ、事故が起こったらすぐに保険会社に事故報告を入れ、支払い対象になる場合は、請求の意志があることを明らかにしておいてください。
「任意保険」は、いまやドライバーの常識といわれていますが、その加入率はけっして100%ではありません。無保険車が加害者になると、自賠責保険の上限を超えた賠償を受けることはほぼ不可能となり、被害者は泣き寝入りせざるを得ないのが現状です。日頃からぜひ、「最悪の事態」に備えておきたいものです。
人身傷害補償保険 <過失割合に関係なく契約者の損害を補償>
交通事故で死亡・重度障害を負っても、必ず相手から十分な賠償が受けられるとはかぎりません。たとえば、追突や信号無視、センターラインオーバーなど、被害者の側に過失があった場合には、その割合に応じて賠償額も大幅に過失相殺されます。もし過失が100%と判断されると、相手の自賠責からはもちろん、その上乗せとなる任意保険からも保険金はいっさい支払われないこともあるのです。
そんなとき、自身の過失分をカバーしてくれるのが、「人身傷害補償保険」です。この特約を自分、もしくは家族名義の自動車保険につけておけば、ケガによる治療費、休業補償、慰謝料などの損害が、過失割合に関係なく、契約した保険金額を限度に100%補償されます。たとえば、過失割合が100対0なら、損害額から過失相殺された100%分が、70対30なら70%分が、50対50なら50%分が、自身の保険で補われるのです。また、重度後遺障害の場合は、補償額が2倍になる場合もあるので、まずは自分や家族がかけている自動車保険の内容をしっかり確認しておくことが大切です。
最終的に過失割合が決定するまでにはそれなりの時間がかかるものですが、事故が起こったらすぐに自分が加入している保険会社に事故報告を入れ、請求の意志があることを明らかにしておいてください。
弁護士費用特約
現在の任意保険では、弁護士費用特約がついていることがあり、弁護士に依頼するにあたり、弁護士費用の補填を受けることができます。この特約は各社概ね300万円までの弁護士費用です。つまり、それだけ被害者の費用負担を少なくすることが出来ます。対象の範囲は、「同居の親族」または「別居の未婚の子」です。同居の老親や、家を離れて独身生活している子どもが交通事故被害にあったときにも対応できるものです。被害者が乗車中の車のほか、家族全員の保険が使える可能性があります。事故当時のご家族の自動車すべての保険証券の特約内容をお調べ下さい。保険会社によっては間違えて使用できないと伝えているケースもありますので御確認下さい。




