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遷延性意識障害

若年の遷延性意識障害1級事案

母67歳まで日額2万円,同67歳以降につき日額2万5000円を認定

■遷延性意識障害(判例042)
■後遺障害等級:1級 確定年:2018年 和解
■静岡地方裁判所管轄内

被害者データ 15歳 ・女性 (中学生)
女性 中学生(事故時15歳,症状固定時15歳)
進路変更中の自転車(被害者)と,後続直進してきた自動車(加害者)が衝突した事故
遷延性意識障害1級

認められた主な損害費目

治療費

約680万円

傷害慰謝料

403万円

逸失利益

約7,680万円

将来介護料

約1億5,270万円

後遺障害慰謝料(近親者慰謝料込)

3,100万円

住宅費用

約950万円

福祉器具等購入費用

約1,100万円

介護雑費

約620万円

成年後見費用

約360万円

その他

約370万円

損害額

約3億0,540万円

過失相殺20%控除

-約6,100万円

任意保険金控除

-約870万円

自賠責保険金控除

-4,000万円

*1)調整金

約3,530万円

最終金額

約2億3,100万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金約4,000万円,人身傷害保険金約6,100万円を加えて,総額約3億3,200万円を獲得した。

詳細

加害者の主張

①本件は,被害者側が合図なしに突然進路変更したことによって発生した事故であり,加害者からすれば衝突を回避することは極めて困難であった。よって,35%~40%程度の過失相殺がなされるべきである。

②将来介護料は,母による近親者介護が前提とされているから,多くとも日額8000円を基準とすべきである。

裁判所の判断

①加害者の事故状況に関する説明は不合理に変遷しており,また,前方を走る自転車(被害車両)の動静に十分に注意を払わず運転していたと認められるから,被害者の進路変更を考慮しても,過失相殺は20%が相当である。

②被害者は,体位交換,痰の排出,体温調節を含め日常生活のあらゆる動作に24時間の常時介護が必要とされ,かつ,2人介護を要求される場面も多いから,母67歳まで日額2万円,同67歳以降は日額2万5000円の将来介護料を認める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①過失相殺について

本件では,加害者が途中で事故状況に関する説明を変遷させていたことが重要なポイントとなった。具体的には,当初,「真っ直ぐ直進していた」と説明していたにも関わらず,車両の損傷状況との矛盾を警察から指摘されると,「被害車両を追い越そうと対向車線にはみ出していた」と供述を変更した。
一つでも嘘をついている加害者の場合,他にも虚偽の説明をしている可能性が十分に考えられたことから,その説明全体について信用性が認められず,結果的に20%の過失相殺に抑えることができた。
遷延性意識障害1級,重度高次脳機能障害,死亡事案のような場合,残念ながら,被害者本人が事故状況について何も説明できないのが一般的である。これを奇貨として加害者側で勝手な説明をし,捜査機関もそれを鵜呑みにしてしまうことがある。本件では,幸いにして,車両の損傷状況と当初の説明が矛盾していたため,捜査段階で加害者の虚偽供述が自ずと判明したが,他の事案でも一方当事者である加害者の説明は慎重に検討する必要がある。
信号の赤青が争点となる事案を含め,加害者供述の信用性が議論となる場合,できる限りたくさんの証拠を収集し,加害者供述の整合性を検討することが非常に重要である。

②将来介護料について

本件は,若年の遷延性意識障害の方であったが,母(近親者)が中心的な介護者となりつつも,職業介護を併用していた。
介護の実態としては,1日50回前後に及ぶ痰の吸引,24時間適宜必要となる体位交換,2人がかりで行う必要がある排泄,入浴,着替え,移乗などの身体介助がなされており,意思疎通ができない被害者のために常に体調を気に掛ける必要性もあった。これらを考慮すると,質的にも時間的にも最も介護負担が重い部類の事案であった。そこで,実際の介護の場面をビデオ映像で提出するとともに,一つ一つの介護内容を文章で説明することによって,日額2万円~2万5000円という高額な将来介護料を獲得することに成功した。
近親者が介護の中心となっているケースでは,日額8000円~1万円という不当に低額な認定を受けている裁判例も全くなくはないところ,介護負担の重さを立証することによって,十二分な評価を受けることができた。
遷延性意識障害1級の被害者の事案では,24時間べったり付きっきりの介護が必要であることを裁判官に理解してもらうことによって,それに見合う高額な介護料を獲得することができるが,ビデオ映像の提出を含め,当事務所ではその立証方法をこれまで様々工夫しており,介護実態の立証は最も得意としている分野である。

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