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重度脊髄損傷

固定時77歳女性の脊髄損傷1級事案(総額約1億3,960万円を獲得)

施設介護にも関わらず日額3000円の近親者付添介護料を獲得

■重度脊髄損傷(判例023)
■後遺障害等級:1級 確定年:2019年 和解
■東京地方裁判所管轄内

被害者データ 76歳 ・女性 (主婦)
女性 主婦(事故時76歳、症状固定時77歳)
自動車に搭乗中,渋滞に気付かなかった後方車両に追突された事故
脊髄損傷1級

認められた主な損害費目

治療費

約70万円

傷害慰謝料

250万円

休業損害

約460万円

逸失利益

約1,740万円

将来介護料

約5,635万円

後遺障害慰謝料

2,800万円

福祉器具購入費用

約700万円

その他

約270万円

損害額

約1億1,925万円

過失相殺5%控除

-約600万円

任意保険金控除

-約525万円

自賠責保険金控除

-3,329万円

*1)調整金

約2,070万円

近親者慰謝料

約480万円

最終金額

約1億0,030万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金約3,329万円,人身傷害保険金約600万円を加えて,総額約1億3,960万円を獲得した。

詳細

加害者の主張

① 被害者のシートベルト不装着によって損害が拡大したものであるから,10%の過失相殺をすべきである。

② 脊髄損傷1級とは言っても上肢に全く障害が残っていないから,食事や整容は自立しており(=介助が不要),介助が必要な場面は入浴や外出時など比較的限定されている。よって,実態としては2級の障害像に近く,原告の将来介護料の請求は高額に過ぎる。

③ 被害者は独居であり,別居の息子夫婦家族のために多少の家事は行っているとは言え,家事労働が認められる範囲は限定されるべきである。

裁判所の判断

①居眠り運転によって前方の渋滞に気付かず追突したという加害者の責任の重さに鑑みれば,被害者のシートベルト不装着を重視すべきではなく,5%の過失相殺にとどめる。

②施設入所している被害者の場合,施設で要している月額約48万円の施設利用料に加え,近親者が毎日のように施設に通って付添い看護を実施している点につき日額3,000円(月額9万円)の近親者介護料を認め,月額約57万円の将来介護料を平均余命期間に渡って認める。

③同居していない息子家族に対する家事について,女性70歳以上平均賃金約300万円を基礎収入として逸失利益を認める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①施設費用

本件被害者は施設に入所しており,施設費用だけで月額48万円程度を要していたが,その48万円という高額な施設費用が満額認められた点で意義ある成果であった。なお,月額48万円には,健常者であっても要する食費,光熱費等が含まれていない。

②施設入所者に対する近親者付添介護料日額3000円

本件被害者の場合,その家族が毎日のように施設に通って食事の介助や関節拘縮防止のためのリハビリなど,付添介護を行っていた。
とは言え,介護施設は,例えば身寄りのない高齢者であっても日常生活を送ることができるような介護体制が整えられており,そうした介護の費用も含めて月額48万円という高額な施設費用が発生している。そのため,保険会社から,「食事の介護も含めて全て施設費用に含まれており,それを家族が代わりに行うのは自由であるが,そのための近親者付添介護料を施設費用と別に請求することはできない」という主張がなされた。
しかし,本件を含め,現実の介護施設では,食事や排泄排尿の時間などに最低限必要な介護しか行って貰えず,家族が行かなければそれ以外の時間は放置されてしまうという実態が往々に発生している。本件被害者も,施設では話し相手すら十分におらず,リハビリも行ってもらえないため,家族が付き添わなければ,認知症の発症や体力の衰えが危惧される状況であった。
そこで,当事務所では,そのような介護施設の実態と,それに伴い家族が付添を行う必要性・相当性を立証した結果,月額48万円の施設利用料とは別に、平均余命期間に渡って日額3,000円の近親者介護料を獲得することができた。

③別居の息子夫婦に対する家事労働を認めた

本件被害者自身は独居であったが,近所に住む別居の息子夫婦が共働きであったため,その子(被害者の孫)を含む息子家族のために夕食やお風呂の準備をし,習い事の送り迎えなど孫の育児にも参加していた。それらの事実を立証した結果,逸失利益の基礎収入が約300万円と認定された。
被害者は事故時76歳と高齢であり,その年齢だけをとっても300万円の基礎収入が認定されるのは稀である(通常は200~250万円程度に減額されてしまうことが多い。)。本件では,それに加えて別居家族に対する家事であり,同居家族に対する家事と比較すればその労働密度は希薄と思われかねない状況で,約300万円の基礎収入を確保した点に意義があった。

このように,別居家族に対する家事であっても,家事労働の実態さえ的確に立証できれば,逸失利益が認められることは参考になる。

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