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高次脳機能障害

高次脳2級で将来介護料日額2万7000円の高額認定

高次脳2級と下肢切断の影響を緻密に立証

■高次脳機能障害(判例194)
■後遺障害等級:2級 確定年:2019年 和解
■前橋地方裁判所管轄内

被害者データ 57歳 ・男性 (会社員)
男性 会社員(症状固定時57歳)
交差点を横断中の歩行者に加害車両が衝突した事故
高次脳2級,下肢切断4級等

認められた主な損害費目

治療費

約670万円

傷害慰謝料

430万円

休業損害

約1,110万円

逸失利益

約7,980万円

将来介護料

約1億4,160万円

後遺障害慰謝料

2,650万円

福祉器具購入費用

約650万円

介護雑費

約345万円

その他

約415万円

損害額

約2億8,410万円

過失相殺20%控除

-約5,680万円

任意保険金控除

-約990万円

自賠責保険金控除

-3,000万円

*1)調整金

約3,760万円

最終金額

約2億2,500万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金約3,000万円を加えて,総額約2億5,500万円を獲得した。

詳細

加害者の主張

①ランニング中に車両の合間を縫って危険な横断をした被害者にも30%の過失が認められる。

②実務の原則どおり,事故前年の基礎収入を参照すべきである。

③日額2万7000円という将来介護料の請求は高額に過ぎる。

裁判所の判断

①ランニング中に車両の合間を縫った被害者の過失と,脇見運転によって前方確認を怠った加害者の過失を考慮し,被害者の過失を20%とする。

②被害者は,転職後1年以内に交通事故に遭遇しており,昇給の機会を喪失した可能性があると認められるから,事故当時の821万5818円をもって基礎収入とすることは相当ではなく,約3.5%上乗せした850万円を基礎収入とする。

③被害者のために必要な介護にはかなり重い肉体的,精神的な負担が伴うことを考慮すると,将来介護料は原告請求どおりの日額2万7000円を認める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①将来介護料

本件のポイントは,高次脳機能障害2級の被害者ながら,下肢を切断していることによって身体機能性も著しく低下しており,座位保持が困難でありほとんど寝たきりの状態にある点であった。
一般的に,高次脳機能障害1級の場合には日常生活動作(食事,入浴,更衣,排泄等)が全介助であるのに対して,高次脳機能障害2級の場合,日常生活動作が随時介助,一部介助で足りる場合が多い。ところが,本件被害者は,高次脳機能障害単体では2級,すなわち随時介助で足りる程度の脳損傷であるのに対して,下肢切断を含む身体機能性障害が附随することによって,寝たきりの生活を余儀なくされ,結果的に日常生活動作全般に全介助(≒1級相当)が必要になっていた。
これらの立証に成功した結果,高次脳機能障害2級の被害者としては破格な日額2万7000円の将来介護料が認定された事案である。高次脳機能障害2級の被害者の場合,日額1万5000円程度が通常であるが,それを上回り,1級の高次脳機能障害事案と比較しても高額な日額単価が認められた。
本件のように,高次脳機能障害の他に後遺障害がある場合,その相互作用(悪影響)を的確に立証することによって,介護負担の重さを立証することが必要である。

②基礎収入

また,基礎収入の点でも,通常は事故前年の年収が採用されるが,本件では,事故前年年収約821万円に3.5%上乗せした850万円が基礎収入として認められた。
本件被害者は,転職から1年も経たないうちに事故に遭っており,事故の直前には,転職後の働きぶりが評価されて,役員会議において昇進,昇給することが既に決定されていた。そこで,これらの事情によって確実に昇給することを立証した結果,事故前年年収を採用するという原則論が否定され,昇給を前提として基礎収入を獲得することに成功した。
本件のように事故時50代の方であっても,事故後に昇給する可能性があった場合,決して諦めずに証拠を集めて立証することで,昇給後の年収に基づく逸失利益を獲得することが可能である。

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