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高次脳機能障害

過失相殺35%の高次脳機能障害1級被害者について,適切に人身傷害保険金を請求した結果,損害賠償額と人身傷害保険金額を合わせた総獲得額が約3億円近くに達した事例。

将来介護費用は1級施設介護(但し定期的な一時帰宅・在宅介護を含む)を前提に適正な約1億2640万円(日額1万8000円)が認められた。 被告が過失相殺につき「事故の主たる原因は原告にある」と主張したのに対し,実際の過失相殺率は35%(被告に65%の過失)と認定させた。

■高次脳機能障害(判例196)
■後遺障害等級:1級1号 確定年:2019年 和解
■岐阜地方裁判所管轄内

被害者データ 11歳 ・男児 (小学生)
男性 受傷時11歳 小学生
原告が自転車に乗り道路を横断中,走行してきた被告自動車に衝突された事故。
脳外傷による高次脳機能障害1級1号

認められた主な損害費目

治療費

約660万円

付添看護料

約310万円

逸失利益

約7,630万円

将来介護料

約1億2,640万円

住宅改造費

約350万円

介護機器等費用

約340万円

成年後見人費用

約320万円

傷害慰謝料

約500万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

その他

約120万円

損害額

約2億5,670万円

*1過失35%控除
控除後

-約8,990万円
約1億6,680万円

既払い保険金(任意)控除

-約760万円

*2人身傷害保険金控除          

-約1,010万円

*3近親者慰謝料

約260万円

*4調整金

約4,330万円

*5最終金額

約1億9,500万円

*1人身傷害保険金1億円のうち約8990万円が過失相殺分に塡補されるため,実質的な過失相殺額は0円相当となる。
*2人身傷害保険金1億円のうち約8990万円が過失相殺分に填補されたため,残る約1010万円のみが控除対象となる。
*3過失相殺(35%)前の金額は約400万円。
*4調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*5人身傷害保険金約1億円を加えた総受取額は約2億9500万円である。

詳細

加害者の主張

①原告は自賠責保険により高次脳機能障害1級の認定を受けており,常時介護が必要なことは事実だが,現に普段は施設で介護を受けているのだから,定期的な一時帰宅は(原告家族の希望で行うこと自体は自由だとしても)必要性がない。したがって,あくまで施設介護のみを前提に将来介護費を算定すべきである。
仮に一時帰宅時の在宅介護費用を認めるにしても,一時帰宅である以上日数は短いから,その分の家族による介護費用は高額でなくとも足りる。

②原告自転車は道路横断時に斜め横断を行っており,また急な飛び出しであり,被告にとっては事故を回避しようがなかった。したがって,過失の大半は原告側にある。

裁判所の判断

① 原告が症状固定時13歳の児童であること,常に医療機関併設の介護施設にいなければ生命が危険な程の重篤状態ではないこと,家族の情愛等を踏まえれば,たとえ原告が普段は介護施設で過ごさなければならないにしても,定期的に一定期間は一時帰宅して自宅で家族の介護を受けながら過ごす権利がある。よって,普段は施設介護ながらも一部在宅介護を受けることを前提に,将来介護費用は日額1万8000円を基礎として認める。

②原告自転車の飛び出しや,斜め横断という事実自体はあるにしても,それらを過大評価すべきではない。被告の安全運転義務違反も大きかったのであるから,過失相殺率は35%に留める。

【当事務所のコメント/ポイント】

①人身傷害保険金の請求について

本件は,自転車で道路を横断した原告にも一定の過失(最終的には35%の過失相殺)が見込まれたである。そこで我々は,加害者(保険会社側)に対する訴訟に先立ち,被害者一家が加入していた人身傷害保険に対して人身傷害保険金を請求し,まずは1億円の人身傷害保険金を取得した。その結果,その後に行った訴訟において,1億円の人身傷害保険金額のうち大半に当たる8990万円が,被害者の過失相殺分に充当されることとなった。このため,実質的には過失相殺(35%)無関係と同等の,約2億9500万円の総受取額を確保でき,ご家族にとって非常にご安心いただける結果となった。

②裁判について

交通事故で高次脳機能障害1級を負い普段は介護施設で生活することを余儀なくされている被害者について,保険会社側は「日常的に介護施設で生活している以上,将来介護費用は施設にかかる費用のみで足りるのであって,どうしても定期的に一時帰宅して一定期間を自宅で過ごす必要があるわけではないから,原告側が任意に行う一部在宅介護のための将来介護費用の増額は認められない」との主張を行った。
これに対しては我々において,被害者の年齢や症状に鑑みても,「(普段は施設介護を受けつつ)部分的に在宅介護を受けながら自宅に滞在することは被害者に当然認められるべき権利であって,生涯施設だけで生活させることはあまりに酷である。また本件に関しては一時的に自宅に滞在しても症状が悪化する恐れがなく,むしろ自宅で家族と触れ合えることで心身の状態が上向くことが期待できる」と,人道的見地も交えつつ丁寧に説明した結果,将来介護費用は一部家族による在宅介護も交えることを前提に,適正な基準(日額1万8000円)の計約1億2640万円を勝ち取った。
また,過失相殺に関して,保険会社側は原告自転車による横断態様を根拠に「過失の大半は原告側にある」との主張を行っていたが,我々において実務上の過失判断資料を適切に引用して反論した結果,被害者の過失は35%に留まるとの判断を勝ち取ることができた。
事故から和解まで6年以上が経過していたため調整金が高額になり,加えて前述の人身傷害保険金の適切な請求もあり,過失相殺分が優先的に補填され,総取得額は人身傷害保険金を併せて(当方の過失が35%あるにも拘わらず)約2億9500万円と,高額な成果を上げることができた。

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